上橋菜穂子作品は、アラサーだって追体験できる面白さがある

今日は、とある作家さんをオススメしようと思う。

上橋菜穂子

ファンタジー作品を多く書く作家さんだ。

1番有名なのは『精霊の守り人』というやつで、NHK綾瀬はるか主演でドラマ化された。
NHK版の広告は見たことある人もいるんじゃないかと思う。

 

www.nhk.or.jp

 

 

上橋さんは一昨年に国際アンデルセン賞作家賞*1を、前年は『鹿の王』という作品で本屋大賞を受賞していて、世間的にも評価の高い作家さんだ。

 


ファンタジー小説ってなんか苦手だわっていう方も多いんじゃないかと思う。

  • どうせ現実じゃないでしょ
  • 用語がおおすぎ
  • こども向けでしょ

な〜んて声が聞こえてくるが…

ぜんぜんそんなことないです。

上橋菜穂子作品は、小学校高学年くらいの子が読めるくらい易しい言葉で書かれているというだけであって、とてもおもしろいし、のめり込めます!


とはいえ、「面白いよ!」の一言でじゃー読んでみようと思う人も少ないと思うから、
上橋菜穂子の作品にのめり込める理由」を私なりに考えてみた。

 

理由1:特有の用語がめっちゃ少ない

彼女の作品は長編作品が多い。
1000Pとか当たり前なので、1冊で収まらないような、練りに練りこまれた作品がほとんど。
ちなみに作者ですら文字校正のために全編読むのに2日かかるらしい。
そんなページ数の割に、特有の用語とか、名前とかがかなり少ない。
ファンタジー作品(特にSF)でよくありがちなのが、特有の用語が多く、覚えられなくて挫折するパターン。
とくにこの2シリーズは、熱狂的なファンが多く面白いんだろうけど、新参に優しくないシリーズだと思う。

もちろん私はどっちも挫折した。

 

実は、ファンタジー作品では使えない慣用句が多い。
例えば…

彼の全国大会で優勝した経歴は伊達ではない

「伊達ではない」という言い回し、伊達政宗公が由来とされることから、伊達政宗公が生きた時代を経た現代日本だからこそ使える言い回しなのだとか。

私達はごくごく自然に言葉を使っているから、意外と気づかない‥
でも、読む人に不意に違和感を生んでしまう場合があるから、安易に使わないのがセオリーなのだそうだ。

上橋さんは作家であると同時に文化人類学学者で、アボリジニを研究している。
自分の言葉と常識が一切通用しない他文化への歩み寄りの経験が、作品の根底に生かされているのかな、違和感のある言葉がない理由なのかなと思う。

 

理由2:児童文学のくせに主人公が中年

上橋菜穂子作品の全部が全部「児童文学」に分類されてるわけじゃないというのは置いておいて、、、主人公が中年のファンタジー小説って珍しいんじゃないか?と私は思っている。

精霊の守り人』をはじめとする守り人シリーズ
30代おばさん

獣の奏者
1人の女性の生涯
(物語の後半からおばさん)

『鹿の王』
30代?のおっさん


少年少女が主人公の小説って、大人になってくると「感情移入」はちょっとしづらくなってくるが、
30代が主人公だと大人でも追体験しやすい。

 

理由3:児童文学のくせに主人公の生い立ちが重い

祖国が滅んでたり
家族殺されてたり、
天涯孤独の身だったり、
奴隷だったりする。

 

理由4:児童文学のくせに重い事件おきまくり

国が滅ぶ
他国の国民を奴隷化
民族抗争で国内分断
病気の蔓延により国民が大量死
王朝内で身内同士で騙し合い
闇討ち
暗殺
動物大量死
集団他殺
行方不明

 

 

…重い!
主人公たち、人生ハードモードすぎる…!

 

でも、物語を通して学べるものはいっぱいある。
重い事件が物語のなかで起こるから、どう向き合うかが物語のなかで丁寧に描かれている。
子どもでも読めるくらい言葉は平易で、淡々としているから、難解な漢字使いまくりでやたらめったら難しい雰囲気とかは、まったくない。

それに、主人公たちは割りと思考がふつうで、英雄的思考ではないのも読みやすいポイントだと思う。
彼らは重い事件を解決する気もなく、国とか民族をしょってる気なんか全然ない。
自分と、自分の周りの人が死なないようにするにはどうするべきかを考えて行動するのを、読者は追体験していく。


物語だから、大変なことがいっぱい起こる。その大変なことのなかでのそれぞれの行動に、一人の人間ができることのリアルさがある。

子どもの頃よんだときは、ただただ夢中で読んだけど、今読んでみると、自分だったらどうするだろう?とちょっと考える瞬間があることに気づいた。
たとえば

  • 突然家族が死んだら?
  • 突然自分一人で生きていかなければいけなくなったら?
  • 信じていた人に裏切られたら?

自分だったらどうするかなぁ、と。


上橋作品、普通に読み物として読むのもとても面白いです。
ファンタジーといっても、何かしら事件が起きて、伏線の回収があり、じわじわと謎が解かれていくのはほかの小説と一緒。
事件が起こってる場所が地球じゃないだけ。

加えて、上橋菜穂子作品は特別な用語も少ないし使われている言葉は平易なものなので、スイスイ読みやすいです。

今までとちょっと違うのが読みたいなーとか、
世間的に話題になってる作品も多いので、
この機会にお手にとって見てはどうでしょうか。

 

 

*1:※国際アンデルセン賞とは…
児童文学界のノーベル賞といわれるスゴイやつ。1956年から表彰されはじめて、日本人は上橋さんでふたりめ